第四幕 哀れな子羊 2000年8月5日

解き放たれた、欲望。
  左から、HONDA CRM250AR、HONDA HORNET(嫁所有)、HONDA タイカブ100EX(今回の主役?)、HONDA CRM80、HONDA PressCub50(件の車輌)、HONDA Dio(嫁の母親所有)
 

  時は流れて前回より1年後、私はなぜか大宮から東京方面へ引っ越していたのでありました。ついでに嫁様までもらってしまったのであります。まーいろいろあったんですよ、新聞配達辞めてから。というか、新聞配達を辞めて今の商売につくってことの原因もそこらへんから発しておるのですが。 
  で、今の住まいはぱっと見が”ガサ”なアパートなのですが、この建物の裏ってのが駐車場になっておりまして、ついでに屋根付き駐輪場なんかあったりする、意外と豪勢な造りなので御座います(でも、豪勢な割には、駐輪場の屋根が潰れかかってるところが素敵)。そこに、私がかつてから所有するバイク、それと嫁がもっているバイクをまとめて停めてあるので御座います。 
  実は・・・このアパートに引っ越してきたのは1999年9月23日のことなのですが、このアパートを決めたとき大家様に「バイク4台・・・えーと大きいのが2台、原付が2台、停めたいんだけど、いい?家賃5000円余計に払うから」と、普通の感覚では嫌がりそうな要求を出したのですが、なんのこたぁない「いいわよ〜」とあっさりOKがでちまった。すんなり飲んじゃくれねぇだろうな、と覚悟していたのに拍子抜け。それでも5000円余計に払うんだしぃ〜OK出ちゃったしぃ〜と、大喜びで引越しの際、当初は3台(CRM250、HORNET、Dio)を持ち込んだのでございました。 
  その後嫁が、私が所有はしていたが乗り捨てて苔を栽培していたCRM80に乗りたいと言い出し、それもここにもってきちまって、予定通りの4台が集結したので御座いました。 

  今思えばこの、2人で4台を持っている、そして手元に置いてあるという事態が、人間の理性をおかしくしてしまったのではないでしょうか・・・これが2台がモトクロッサーとかいうのだったら分からないでもないんだけど、全部ナンバー付きでいつでも走れる状況に有る。オンであれオフであれ、存在は使用用途が違うが結局舗装路しか走らない足には違いが無い。用途が同じ4台を持っててどうするつもりだったんでしょうね?つまりは所有欲、みたいなものでしょうか。しかし欲求がこれ程度で満たされるなんてことはござーせんのが私達だったのでした。 
  で、その当時、そんなことを考えるなんてことは全く無くて、とにかくとっかえひっかえ乗ってればいいんでない?位のかるーい気持ちで所有しておりました。しかしそれでも不満でして、こんどは実家に残してきたPressCub50もここに持ってこようなんて話になったのであります。私的に、CRM250は通勤快速で、家の周りのちょっとしたところに行くには、籠もついててお手軽なDioを使っていたのですが、私、実はスクーターが苦手なので御座います。嘗て・・・あ、いや、この話は私の心の傷口に塩を擦り込むような気がするので、自分が可愛い私は自粛しておきますが、まぁとにかくスクーターが嫌いなので御座います。 
  んじゃぁその代わりになるような足があるかと問われれば、あったんですわPressCub50が。籠もでかいしリアキャリアは広いし。ただ難点は外装ぼろぼろで、前回エンジンは掛かったがその後1年も放ったままにしてあるから動くかどうかはわかんねぇ。実用に耐える自信が無かったのでした。実家を離れてから、手をかける暇がなかったのも有りますしね。 

  しかし手元にあれば、乗ろうという気が起きて修理にも力が入るんではないか?と嫁に言われたので、そりゃそうだと手元に持ってくる気は起きたんだけど・・・何より、このアパートでの契約は「バイク4台」だから、今のままPressCub50を手元に持ってくるわけには行かない。そこでダメ元で大家様に「もう2台増えても、いい?」とお伺いをたててみましたら・・・「いいわよ〜」・・・二たび、あっさりOK。この大家様は・・・気が狂っ・・・(以下自主規制)。 
  かくして、PressCub50がいつでも手が下せて、修理の暁には下駄代わりになる日が近づいた・・・んだけど、かねがねPressCub50のパワーには不満が御座いまして、せめて90ccのエンジンくらいは載せたいなーと思っておりました。せっかく自動二輪の免許も持っているんだし、30km/h規制や二段階右折なんて恐ろしい呪縛からも逃れたい、ついでに現在の通勤快速CRM250ARを、MXタイや履かせたまま走らすのももったいないし・・・結局、長距離ツーリングとレース以外に使えて、パワーに不満の無い車輌であって欲しいんですよPressCub50には。しかし50ccのままでそれを具現化するってぇのは無理(でもないんだけど)なので、手っ取り早くパワーアップのエンジン載せ替えを目論んだわけなので御座います。 

  エンジンだけ欲しかったので、yahooオークションにてまずはSuperCub90のエンジンを探し始めました。ええ、前から我がページで言ってる通り、PressCub90が欲しかったですからね、ともかくそれを具現化してみたかった。90ccもあれば街乗りでは余裕でしょうしね〜 
  あるのはあるんですよ、さすが最近流行りのyahooオークションだけあって。しかし・・・競争率、高すぎ。2つめぼしいのに入札したけど結局落札できんかった。値段も安くてよさげだたんだけどねぇ・・・さっさと欲しかったから、SuperCub70にまで手を出してしまう始末。エンジン、あとからいじってええ様にしてしまえばええやんけ、ということで。50ccから90ccとか100ccとかにしてしまうのは、その後の改造が大変そうだったから(資金的に)、まず何もせず使える70cc以上のエンジンを求めたのでした。まぁ妥協ですわね、70ccなんていったら。 
  それでも満足できない。70cc、90ccで頑張りつづけても良かったが、なんだか納得できない胸の内。そんな私の、心の隙間を埋めるかのごとく出品されたのがタイカブ100EXだったのでした。いや、飛びつきましたね値段的にもお手ごろで。本当はエンジンだけ有ればよかったんだけど、これは車輌丸ごとの出品、当然値段は跳ね上がっているわけですが、それでもエンジンだけしか見えない私にとっては「かまわねぇよ、何とかして落札しちゃる」だったので御座います。 

  さしたる競争相手も無く、無事落札したので御座います。ただねぇ・・・輸送費が結構大きかったわね。ついでに運送屋の都合上車輌が手元に来るのに多少時間が掛かってしまった。それ差し引いても「ぐふふふふふ」と、独り部屋の片隅で喜んでいたので御座いました。 
  でもね、私が欲しい部分はあくまでエンジンのみ。他の部分は特にいらないのよね〜タイカブのあれ付けたいこれ付けたいって考えは、手に入った時点ではなかったから。というわけで、エンジンだけをPressCub50に捧げる生け贄となる運命なので御座います。 

  前置きがとても長くなっちまったけど、その、生け贄の遺影が今回のお題なので御座います。2000年7月26日に手元に届いたのですが、結局この車輌にナンバーをつけて公道を走ることは有りませんでした(ナンバーは都合上一時的に取得、その顛末は違う章で)。エンジンを外してしまえば当然にガラクタ産廃になってしまうので、まだ原形をとどめている間に、ウチに有る車輌群として集合写真を撮っておくことにしました。それが2000年8月5日だったので御座います。そして翌日には哀れな子羊と化したので御座います。

 
 
 
 
 

  タイカブ100EXの最初で最後の、在りし日の姿。この後原形をとどめないほど哀れな姿に・・・は、なりませんでした。なんとなく、この形を残しているので御座います。 
  というのも、予定通り剥ぎ取ったのはエンジンとサスくらいなもので、その他にほとんど手を入れなかったためです。 
  ちなみにこの姿は我が手元にもらわれてきたときそのままで、何も手を入れてない状態です。ですから最初からレッグシールドはなかったんですよ。このまま乗るならレッグシールドの有無には拘るかもしれないけど、私の視点ではそんなもの無い方がいいくらいだったのでした。だからこそyahooオークションで競争率が低かったのかもしれません。 
 
  これもまた、最初で最後の絵であろう、PressCub50とタイカブ100EXが並んだ姿。これが、PressCub50を親会社とした吸収合併が行われるようなもので御座います。決して、共同出資で新会社を設立するとか、持株会社を作るとか、そういうのでは御座いません(というか、2個1をそういう風にたとえるにはどんな造作をすればいいのか、書いた私にゃわからない)。
  タイカブ100EXのエンジンと吸気部分。ぶるじょわ装備のタイカブ100EXならではのセルモーターが見えております。キャブレターの口径は16φで、PressCub50の13φより当然ながら大きいです。 
  チラッと見えているチェンジペダルは、完全なシーソー式では御座いませんで、一応掻き上げることも出来るようになっていますが、アタクシはこれにはどうしても馴染めませんで、シフトダウンするときはペダルの後ろを蹴り下げます。
  よーく見ると97ccと刻まれているシリンダー。うふふふふふふ、これがPressCub50に載るのね・・・ぐふふふふふ。
  10590kmを刻む距離計。ということでこのエンジンの走行距離は10590kmと相成っております。ん〜、3人乗りでもびくともしないタフネスで鳴らすタイカブ100EX、新品同様で御座いましょう。 
  また、100km/hまで刻まれたスピードメーターが、このエンジンのポテンシャルを物語っております。
  タイからの輸入車で、さらに51cc以上ですから最初からダブルシートが装備されております。・・・が、そんなものに興味は無いので、当然ながら移植などは考えないので御座います。しばらくは放置で御座いましょう。
  ちょっとメガホンチックなマフラー。この直線的なところが妙にスタイルにこだわりがあるようなタイカブらしいところなんでしょうかねぇ? 
  これは当然ながら移植です。
  リアドラムブレーキ。純正部品(パーツリスト)ではリアブレーキパットCOMPの部品番号が違うので少なくとも同じ物ではないのでしょうが、キタコのパーツカタログによると、PressCub50のC50BN(D)-P以降と、タイカブ100EX(HA05、HA06)では同一のものが指定されています。さすがに100ccですから大容量ブレーキを使用しているのですね。SuperCub90はSuperCub50と同じ物を使っているというのに。 
  ということは、PressCub50はそれほど制動力が高いって事でしょう。まードラムブレーキの世界だから五十歩百歩だとは思うけど・・・
  フロントタイヤは2.25-17 4PR/33Lを指定されていますから、その点ではSuperCub90に負けてるかな・・・でもでも、テレスコピックサスで結構フォーク間が空いてますから、2.50-17を履かす出来るでしょう(試してませんので保障はしません)。

これがまた、ブッとくて頑丈そうなリアサスです。3人乗りでも大丈夫って感じがにじみ出てて、さらにオールメッキでなかなか素敵な逸品。これは一発で気に入っちまったのでPressCub50に移植してしまおうと心に誓ったので御座います。

  何しろ気に入ったのは、ものすごくお手軽にリアサスの硬さを切り替えられるところでしょうか。こっちが1人乗り用。チェンジレバーに絵が描いてあるのがとてもほほえましいので御座います。 
  普段の街乗りとダート走行するときはこっちかなー
  こっちが2人乗り用。人間らしき絵が2人分描いてあります。 
  新聞を満載するときとか、0.1tの人が乗るときはバッチリでしょう。

で、施工は翌日、8月6日になったのですけど、施工の模様は第六幕以降です。第五幕の予告として、ナンバー取得を取り上げる予定です。

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