こんなんして取ってきます
  
集金人も、必死なので、ときには間違った事もやってしまいますよ
許して下さい、払って下さい
  
その1

 ちょっと前のこと、まず初集の時にその人に言われました「ちょっと今お金ないから、また今度きてくれる?」と、とりあえずその場では引きさがりました。本当かもしんないし、まあそれぞれに都合ってもんがあるだろう、そんなことを思ってその時は次の家に行きました。そして、2、3日後のある日またその家を訪ねました。そうしたらま〜た「また今度きてくれる?今お金ないから」な〜んてぬかしやがる。お前の家は常にお金ないのか?なんて思いながらも、反面まあ都合もあるしな。な〜んて考えてた。しかし2回目なのでさすがに引き下がらず、「次はいつきましょうか?」な〜んて聞いてみた。すると「5日後にお願い」って言ってドアを閉めやがった。
 だ〜から行ってみましたよ、きっちり、5日後に、そしたら案の定「今お金ないから、また5日後にきてくれる?」なあぁ〜んて言ってくる。これにはカチンときた。まあ普通の人ならああそうですかと帰ってくるんだろうが、そうはいかない。初めてのお客なら、まあ次に書く事をまた5日後にやりますが、とりあえず今回は虫が悪かったので、言ってやったのだ。「こないだ5日後って言いまいしたよねえ、その前も2、3日後って言いましたよねえ。で、ま〜た5日後なんて言うんですか?次は払ってくれるんですよねえ。」な〜んて言ってやった。
 お客も可哀想だと思うが言ってしまうんだこれが。だ〜てまた行くの嫌なんだも〜ん。しかも〜次の5日後はもう、10日すぎてるんだもん。だから言ってしまったんですね。そしたら、観念したのかやっぱりお金くれましたよ。もってましたよ。払ってくれました。始めから払ってくれればいいのによ。と心で言いました。
 

その2 1999/05/11

 昔の話、単身赴任のサラリーマンを追っていたころ。
 やつは手強かった。取り敢えず新聞は常に抜けるのだ。ということは家にいるってことで、帰っているということなのだが、取れない。22時にいっても、23時にいってもいな〜いのだ。しかし、翌日の朝刊の時、夕刊は抜けている。う〜んどうするべきか。とりあえず、日曜日も朝8時30分とかに行ってみる。い〜な〜いもうやってらんないのであります。まあつきあいゴルフだろうなあ。ゴルフバッグあったし。それにしてもこいつかわいそうだなあ。といつも考えておりました。
しかし!背に腹は変えられません。やりましたよいろいろ。まず、家の前で待機。そこのマンションのゴミ捨て場に紙類をまとめる所があって、そこからマンガを引っ張り出して読みながらまっていました。しかしなかなか奴は帰ってきません。あんまりいて、怪しがられるのもなんなので、下の階段に待機したり工夫しました。まあ、標的が家に帰ってしまってからでは、もう呼び鈴もおしづらくなるので、奴と会うしか手段がないのです。大抵が0時あたりで捕まるのですが、確か年末の頃、奴は終電あたりでも帰ってこなかった。しーかーしー翌朝、夕刊は抜けていた。こうなるともう努力もくそもなくなるもんで、日曜の朝もいないわ夜もいないわ、自分も自分の時間がもちたいわでやけくそで、平日に朝刊後にかけつけてみた。しかしいないのである。朝刊は抜けているもうこの働き蜂め!と半分は感心しながら、奴の大変さを少し同情しながらむかついていたのである。サラリーマンも楽じゃ無いんだ。しかも単身赴任なーんてことは集金にはなんの関係もないのだが。
で、つっついにある作戦を決行してしまいました。それは、もともとそのマンションは順路の最後の方だったので、朝刊を一番最後に回し、奴の家をさらに最後にまわし、朝の待ち伏せをしました。朝刊を抜いて5分くらいしたとこで、踏み込もうと言う訳です。奴はまんまとに?かかってくれて、払ってくれました。さらに「次からどうしましょう?」と聞くと、快く「いいよどうせいないから、この時間でも」と言ってくれました。しかし、そこまで言われたら逆に張り切ってしまうのが自分で、頑張って普通の時間で捕まえるようにしてはいました。電話番号を聞いたりして、少しは迷惑がかからぬよう努力しましたわ。向こうも顔を覚えてくれたしね。こっちももう3年も前の話なのに名前を覚えてるし。元気かな〜勝俣さん。あんなに取れなかったんだけど、なぜか、嫌な気がしない人でした。
 
 

その3 1999/05/21

 ちょっと迷惑をかけてしまった話。
 標的はワンルームマンションの住人。奴はいつ行ってもいない。休日でも、朝刊が抜けててもいない。夕刊が抜けても出てこないのである。電気も消えているようだ。この人はその月に区域編成が変わって、自分の区域に加わったので、まだ様子が見えなく、こっちも下手な事はできなく、手をこまねいていた。月が変わっても取れず、ある日前に集金していた人間に聞いてみた。これは自分としてはかなりの敗北感があった。しかしこの人は自分の師匠とも言える人、しょうがないのでとりあえず聞いた。「あの人いつも取れてました?」と。すると「あ、あいつねいないよ。いても金がないと出てこないよ」と軽い返事「俺も3ケ月追い回したんだ。でもあったら絶対出てくっから」とのこと。そうかそうか、この人が取れなかったんならしょうがないと、思いつつ、そんな事ではめげないのである。
 で、その後の休日、朝刊時にバイクが家の前に停まっていた。自転車もあった。これはいいぞと、朝の9時に押し掛ける。自転車は無くなっていたが、そんな事は全く気にせず、呼び鈴を鳴らす。「ピンポーン」数秒待ってもう一度押す。しかし反応は無い。こうなるともう中に人の気配がしようが、出てこないということは、留守ということで、何回も押しまくる。もうやけだ。ピピピピピンポーン、ピンポーンピンピンピンポーン!と何回も押してるうちにだんだん楽しくなってきた。いつもはその位でもう満足して帰るのだが、その日は違った。中で、ゴソゴソ!ガサガサ!と音がしてくるではないか、ヤバい!そう思ったが、とりあえず出てくるのを待つ。そしてドアが開いた、眠そうな顔をした若者がパンツ1枚で出て来た。う!やばそう。でもとりあえず「○×新聞です。集金お願いできますか?」と言ってみた。すると「僕、ここの家の者じゃないんです」とのこと、でも困るので「いつ帰ってきます?」と聞いてみると「夕方頃にはいるはずです」と言う。眠そうだがきちんとしていて好感が持てた。「朝早くすみませんでした」と謝って帰ったのだった。本当に悪い事をしてしまいました。肝心の集金はその日の夕方、きちんと取る事が出来ました。
 
 

その4 1999/05/21

今度は前の話と逆のパターン。
丁度この家も、その3の話と同じ境遇にあった。しかし、今回は前に配ってた奴が、年下の経験もない奴だったので、事情は聞けない。意地である。しかも、○○荘と言うような感じで、しかも取っているのがスポーツ新聞。どう考えても、おやじが住んでいる。呼び鈴も無いので、ドアを叩く。しかし今回も下手な事は出来ない。
 その日の朝9時に行くと、スポーツ新聞が抜けている。いるかな?と思い、ドアを叩く、しかしやっぱりおやじっぽいので、しつこくは出来ない、ポストの所から中を覗き込む、人の動く気配も影も感じられない。う〜ん。先を急ぎ、その場を去った。それが間違いだったのだ。
 その日の夜8時にもう一度行った、自転車で走りつつその部屋に電気が付いている事も確認出来た。いるぞ!やった!と階段を駆け上がり、ドアを叩く、すると中から「なに〜」とおやじの声。やっぱりおやじだった。そう思いつつ、「スポ○○ですけど〜集金お願いします!」と言うと、お金を持って出て来た。そんで、お釣を渡したところで一言「朝来た?」なんて言う。なんで?!と思いつつ「来ました」と言うと「ポスト覗いた?」う!な、なんで知ってるんだ?やばいなあ。しかし事実は事実なので「覗きました」と言うと「そうか、もう少し待っててくれりゃあよかったのに、寝てたんだよ、出てったらもういなかったよ」とのこと、あ〜〜!そうだったのか!不覚だった。と物凄く悔しかったが「今度からは待ってみますね」と笑顔で言っては見たものの、このショックは大きかった。おやじだからと、慎重過ぎた自分を悔やみました。そういやあ、ずっといそうでいなかったのは、寝てて出てこなかっただけだったのかと思うと、悔しすぎです、しかも区域の端の方の家だったので、悔しさは2倍でした。


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